2007-01-01から1年間の記事一覧

アルファベータ

「時代の扉を開いてゆく」と呟きながらアジに刃物を入れる若い職人の横で、同じくアジに刃物を入れながらベテランの職人が「そんなオンボロ開いたところで、お前に明るい未来がやってくるとは思えないがな」と呟く。 青年は、むっと言葉を返す。「それは、あ…

内容ない日記

コンビニのトイレを借りてドアノブをひねると、予想以上に回った。すげー回った。 なのに、このドアノブの回転にはまだ余裕がある。壊れてんじゃないかって思った。閉まらないんじゃないかって思った。 トイレの中でやる行為はいくつかあるけれど、その多く…

海の幻視

定食屋の隣の席で、スーツ姿のおじさんが割り箸を割ろうとしていた。 両手で箸を広げようとしていたのが視界の隅で見えた。 でも、気付くと片手は下がってどんぶりの方向へ、反対の手は口元に上がって、頭の高さでパキッと箸の割れる音がした。 なんで、わざ…

機械系

高機動ラビオリ兵器。 小麦粉と水とひき肉を入れてスイッチを押すと、小麦粉を水でこね、肉に味付けをし、それらを合体、完成したラビオリを砲身から発射する。製造されるラビオリは、一般家庭で利用されるものとほぼ同サイズ。 時速80kmで飛ぶため、生ラビ…

mistoa vol.4

loiolさんが主催する幻想幻視なウェブマガジン、mistoaの第四段が今月頭に公開されました。一言では説明の付けづらい変質的な作品がたくさん楽しめます。 やや、自分も参加しています。 http://mistoa.seesaa.net/

龍の人

前の日曜日に放送されていた大食いの大会を、今になって観た。 今回の大会は、大食いブームの火付け役たるテレビ東京が主催するものとしては久々の大きな大会であり、同時に、大食い選手の中でも名のある白田信幸(ジャイアント白田)選手の引退試合でもあっ…

パソコンの表面がもやがかって見える。なんだろう、と手で触れてみると短く柔らかな毛が生えていた。 僕は、パソコンが進化したことを一瞬嬉しく思った。感情を叫びそうになったけど、口を開けただけの状態で止まった。跳び上がりかけていたけど、しゃがんだ…

ふと

銀行にて、受付窓口を正面に見つめながらぬいぐるみの腹を何度も何度も殴り続けた場合、これは罪として成立するだろうか。 金品を要求するような発言はせずに、包丁や銃といった凶器も一切持たない。ただ何度も何度もぬいぐるみを殴り続けて、受付にいる人と…

[]

ハードディスク録画した刑事コロンボをプラズマテレビで観ているという、やや違和感のある光景に出くわした。 状況を逆にするなら、トゥエンティフォーのDVDを初期型のビデオデッキに突っ込んで、ダイアルのガチャガチャ言うモノクロテレビに映し出すとい…

お笑い系

先日の「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」で放送された笑い飯の紙芝居ネタ。演目はさるかに合戦。 http://www.veoh.com/videos/v1067871wwxjSKxE?confirmed=1 こういう緩やかに粘っこい笑いを作らせたら、笑い飯にかなう人間はいないんじゃないだ…

フレーズに触れる

何気なくテレビCMを眺めていると、番組が始まった。 番組冒頭の説明によれば、どうやら島田洋七著「佐賀のがばいばあちゃん」を扱った番組らしい。全体の流れとしては、番組のメイン司会が島田洋七を連れて佐賀をまわり、島田洋七の祖母との思い出を小出し…

眠気のある日の日記

なんか、猫がスクーターに轢かれてたけど元気だった。 前輪と後輪が胴の上を通っていくのを見て、その直後には車道から排水溝の奥へと走っていくのを見た。動きに異常はなく、血も出ていない。モロに轢かれておきながら、なんの怪我もないただの猫だった。 …

ていう。

口からクイズを吐き出す太古のモンスター。遺跡の奥でひっそりと眠っている。今日は久々にやってきた冒険者と相対したのだが、胃の中でクイズが混ざっちゃってて、もう大変。 ていう。

部屋のひと部屋

昨日さ、箱に入ったの。すげぇ狭い箱。 お前、こういうさ、体育座りしないと入れないくらいの箱って入ったことあるか。あれ驚くぜ。実際入るとさ、外で見てるよりもやたら狭い感覚がするんだ。マジ、ビビるぜ。 バカ。マジ違うんだって。俺も最初はそんなこ…

水をこぼした

ペットボトルの水を陶製のコップに注いでいたら、隣で大きなクシャミがあり、つい狙いを外してしまう。 こぼれた水は、丸の形から八方向の直線を延ばして、まるでクモのようになった。あまりに見事にクモっぽかったので、うわクモだ、と口が勝手にジェスチャ…

名言を使ってみて

んー。

探知機orインチキ 00003

「これ、あげる」 「え、これはチョコレート。そして今日は二月の十四日、…ということはまさか!」 「想像にお任せしますってことで」 「どういうことだよ」 「教えなーい」 「あ、待ってくれよ。これを探知機かインチキかだけでも、教えてくれよー」 「きゃ…

探知機orインチキ 00002

「やだー、太郎くんのところでお泊まりするの」 「駄目でしょ、幹男。ごめんなさいね仁美さん、迷惑かけちゃって」 「泊まるのー」 「こら幹男、迷惑でしょ。ここは太郎くんや仁美さんにとっては探知機だけど、私たちにとってはインチキなのよ」 「うーーー…

探知機orインチキ 00001

「そういえばさ、一丁目のメガネ屋だったとこ、なんかコンビニになるみたいだよ」 「コンビニかー。近くに同業も多いのにやってけるのかな」 「何ヶ月かしたらどれか潰れるかもね」 「この開業予定のはどうなるかな」 「んー、大手のチェーンが来るみたいだ…

虚無の言

未来創造堂という番組で、魚群探知機を開発した人のドラマが放送されていた。 その開発が難航していたことについて、テスターとして船に乗っていた開発者の弟が、本職の船乗りに何度も海に投げ落とされては「探知機なのかインチキなのかわからない」と罵られ…

オーラおじさん

右手を上げて、赤信号を横断しようとしている自転車乗りのおじさんがいた。 おじさんの右手からは、オーラのようなものが後方に流れていていた。オーラなんてメルヘンなものじゃなくても、半透明の輝きあるものが間違いなく右手から放射されていた。 なんだ…

新札デザイン案

新千円札はそのまま野口英世。 新五千円札はそのまま樋口一葉だが、左手で千円札を握りつぶしている。 新一万円札はそのまま福沢諭吉だが、左手で千円札、右手で五千円札を握りつぶしている。 新千円札の野口英世をよく見ると、つらそうな目をしている。

宇宙の人

枯れた声のおじさんが、公園で一人何かを叫んでいる。 遠目からその様子を見ていた僕は、その姿があまりにも喜びたっぷりだったので、どうしたのかと近付いて尋ねてみた。すると、おじさんは「遂に地球に着いたんだ」と目をキラキラさせて答えてくれた。僕は…

路地裏の声

あいつら坊主頭は、単に毛を剃ったから灰色の頭皮をしているわけじゃない。毛を剃って、灰色の溶液に頭を浸しているからあの色なんだ。 信じてくれ。 信じられないなら、一度冷静に考えてみてくれ。 黄色人種の皮膚の色が、体の一部とはいえ灰色であるわけが…

およそ先週

日中は蒸すように暑く、夜はぱらぱらと雨が降ったり止んだりした、水分だらけの一日。 そんな夜に商店街を歩いていると、魚屋を見かけた。 そこでは新鮮な魚類のほかにうなぎの蒲焼が販売されており、蒲焼は屋根もない場所で、ガラスの覆いやサランラップの…

壊れご隠居

さぁさ、カクさんや、やっておしカカカカカカク、カク、カカカカカカカク、カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカククククク、カカカ、クックククククククウウウウゥッゥゥウウ、カカカッ、カカカッ、カカカッ、クゥーク…

壊れご隠居

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ラストシーン

「フ…、フハハハッ! 確かに私はお前たちに力で負けた。だが、それでお前たちの何かが変わると思ったら大間違いだぞ! いいか、不良少年たちよ。いくら我々中年を倒そうが、お前たちが年を取っていくという現実は変わらない。そう、力では何も変わりはしない…

ただの日記

車の中でカクンッと首を動かしている初老の人がいた。 あれは、睡眠中だから自然と首を動かしてしまっているのか、それとも縦ノリが最高潮だからああして首を動かしているのか。 つまらない考えだとは自分でも思うが、毎回ふと思う。 ややこしいので、車体に…

路上の販促

最近の販促戦略は、ポケットティッシュや油取り紙の配布では飽き足らないらしい。 昼間、友人の家へ徒歩で向かっていると、突然ソフトバンクの店から飛び出してくる人間が一人。これいかがですか、と差し出してきたのがポケットティッシュにパンフレット、も…