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ハードディスク録画した刑事コロンボをプラズマテレビで観ているという、やや違和感のある光景に出くわした。
状況を逆にするなら、トゥエンティフォーのDVDを初期型のビデオデッキに突っ込んで、ダイアルのガチャガチャ言うモノクロテレビに映し出すということになるのか。
いや、しかしそれは不可能か。
初期型のビデオデッキは、DVDを読み込むことに対応していない。もし再生が成功すれば、それはちょっとした違和感以上に驚きが立ってしまう。
DVDに記録された映像を一旦VHSに落としてみようか。DVDにはコピーガードがあるが、専門店の並ぶ電気街などを回ればおそらくその除去機は売っている。通販でも買えるかもしれない。それを使おう。
あっといけない。これも不可能だ。
ビデオデッキが生まれたばかりの時代には、VHSという規格が存在していない。VHSを入れたところでぶかぶか、フィルムは流れない。
トゥエンティフォーを再生するには、VHSよりもさらに古い、現代では見かけない特殊な規格のビデオテープに映像をコピーしなければならない。
しかし、それを実現するための機械は売っているだろうか。一般の人がビデオテープに書き込みができるようになったのは、初期型のビデオテープよりもずっと進んだ規格になってからのはずだ。記憶の中のテレビ番組が、そう説明している。
トゥエンティフォーの映像を初期型のビデオテープに記録させるには、工業用の機械が必要だ。入手はとても難しいだろう。少なくとも、そこいらのネットオークションには出品されていない。現存するのは、博物館にあるものだけかもしれない。いや、もしかすると博物館にすら存在していないのかもしれない。技術の進んでいない時代に、とても複雑な動きを強いられる機械だ。おそらく、とても巨大ではないのか。
巨大だとすれば、それはまた問題だ。この狭い家に置いておくことができない。仮に置くことができたとして、迷惑な騒音が出やしないだろうか。近所付き合いは大切にしたい。
…、どうも手元にある情報が足りていない。wikiなどで調べようともせず、予測の内に空想が混じりはじめている。
どうするか。発想をちょっと戻そうか。
初期型のビデオデッキに、トゥエンティフォーのDVD自体を突っ込んでみようか。意外とうまくいくかもしれない。…いや、しかしそれは最初に考えたし、円と四角では形が違いすぎるしなぁ。んー。
…、って、あれ?
そもそも、どうしてDVDが前提にあるんだ。おかしくはないか。
自分が見た、プラズマテレビに映像を送っているデータの元は、DVDではなくハードディスクだ。刑事コロンボが存在しているのは、ハードディスクの中だ。
ならば、初期型のビデオデッキにはハードディスクを突っ込むのが道理なんじゃないか。四角形でビデオテープの形に近いし、まだ再生の見込みもあるだろう。DVDを突っ込むよりは合理的だ。これで再生が実現したとして、何を驚くことがあるだろうか。私は驚かない。ちょっとした違和感があるくらいだ。
完璧だ。いちいちDVDに遠回りした自分が馬鹿らしくなった。
よーし、そうと決まれば。
…。
…。
…?