内容ない日記

 コンビニのトイレを借りてドアノブをひねると、予想以上に回った。すげー回った。
 なのに、このドアノブの回転にはまだ余裕がある。壊れてんじゃないかって思った。閉まらないんじゃないかって思った。
 トイレの中でやる行為はいくつかあるけれど、その多くは他人に見せるような行為じゃない。偶然、自分がしようとしてた行為もそうだった。閉められないのは、まずい。店員からドアノブを壊したのが自分だと疑われる可能性もあるし、それで修理費を請求されたら大損だ。
 トイレのドアが故障した場合、一般的にどのくらいの金額を取られるものなんだろう。やはり、業者によるんだろうか。
 パッと浮かんだ業者は、水まわりのトラブルで有名なクラシアンだった。
 CMで作業内容と料金について歌っているクラシアン。内容を思い出そうと音階をなぞると、歌詞はすんなりと思い出せた。けど、いくら記憶の流れを読んでみても、トイレのドアについては一言も触れていない。まさかトイレのドアは、水まわりに含まれないのだろうか。歌詞は、トイレの詰まりやパイプの修理をおこなった場合の料金プランを説明している。違いはなんだ。便器や排水パイプは液体が触れているのが仕様だが、それが水まわりということだろうか。トイレのドアは水の近くにありながら、水に直接触れることは珍しい。なるほど、水まわりではないのかもしれない。ってことは、今回のような件にはクラシアンは関わってこないということになる。えー。期待外れもいいとこだよ。クラシアンが駄目なら、どこの業者に頼めっていうんだよ。見当もつかない。修理業者の名前はいくつか知っていても、重要な料金プランについては未知の世界。くそ。どうしろっていうんだ。完全に手詰まりだ。手詰まりについて、クラシアンは助けてくれないのか。見て見ぬふりなのか。トイレの奥に手を突っ込むような手詰まりでなければ、助けてくれないのか。冷たいぜクラシアン。冷たいぜクラシアン。そんなに水まわりが好きかよー。水くらい自宅でも出るだろーがよー。
 ところで、ふと思ったのだが、クラシアンの字面ってなかなか格好良い形をしている。発音の感じもなかなかいい。SF作品とかで出てきそうな名前だ。
 で、それはともかくとして、勇気をもって回り過ぎたドアノブから手を離してみたら、ドアはきっちり閉まってくれた。一人、コンビニの個室の中でほっとした。(やったね!)
 ちなみにそれから試してみたところ、ドアノブは一周の回転を余裕で耐え、さらに半周を追加してようやく負荷がかかった。手を離すと、ドアノブはさっきよりもゆっくり回転を戻していって、中途半端な位置で停止した。ドアの横から出たり引っ込んだりする突起も、同じように中途半端な位置で固まっていた。クラシアンは当然来ない。連絡もしてないし。
 まぁ、どうでもいいか。
 それで用を足してトイレから出ると、鮭おにぎりと親子丼、緑茶を買った。緑茶は1Lサイズの紙パックで、ここ数年、よく買っている。
 なんと!
 昨日も買った!!!
 まぁ、どうでもいいか。今日の日記はそういう日記。(クラシアン森末慎二も、口を揃えて言っている)
(!!!)