オーラおじさん

 右手を上げて、赤信号を横断しようとしている自転車乗りのおじさんがいた。
 おじさんの右手からは、オーラのようなものが後方に流れていていた。オーラなんてメルヘンなものじゃなくても、半透明の輝きあるものが間違いなく右手から放射されていた。
 なんだろう、とよく見てみるとそれは透明のポリ袋だった。大きさからすると、スーパーマーケットのレジを通過後、生ものなど匂いの移りやすい商品を個別に入れるためのあのポリ袋かと思われる。あれに右手を突っ込んで自転車を突っ走らせている。オーラのように見せている。
 なんだろう、威嚇のつもりだろうか。
 考えているうち、おじさんはどこか遠くへ行ってしまったので、二つ目の「なんだろう」は不明なまま。
 自己完結的にまとめるなら、車がそれなりに通る赤信号を横切ろうとするようなおじさんは、やはり人間が違うということだろうか。んー。おじさんの真意が知りたい。インタビューをしてみたい。