その他

 細い筒の中に細い鳥を入れる。
 筒の向きを整え、狙いを定めて火薬に点火する。
 鳥が飛んでいく。
 空気抵抗で翼が広がる。
 同量の火薬を使って銃弾を発射するよりも飛距離が長く、重量のため威力も高い。
 欠点は、火薬の衝撃で鳥を気絶させながら射出する作りになっているのだが、想定していた以上にこの細い鳥は気絶しづらい性質をもっているということ。
 発射時に気絶する確率が五割。
 その後の高速滑空中に目を覚ます確率が七割。
 目覚めている状態だと、命中前に進路を変えて避けられてしまう上、鳴き声うるさく、発射した人間に執拗にまとわりつくなどする。
 潜入には向かない。
 また、保管・運搬中にも鳴き声はうるさい。昼夜問わずにやかましい。
 クチバシを紐などで縛るとストレスですぐ死ぬ上にすぐ腐敗が始まって溶け出してしまう。一匹が死ぬと周囲の鳥がそれを第六感的な超感覚で感じ取ってストレスで死んでしまう。光の差し込まない密閉空間も苦手。腐敗時に現れるガスは濃厚なピンク色で、一匹分のガスでも衛星写真に写るくらい大量に噴き出る。このガス自体を攻撃に使う案もあったが、色のわりに無害。
 とにかく、潜入に向かない武器である。
 絶滅危惧種ということもあり、あまり公に使用するのも好ましくない。