文明の発展とともに私たち人間は大切な何かを、
しょう油こぼしマシーン。
誰の視線もしょう油に向いていないときに、テーブルから機械の人差し指が出てきてしょう油の入った容器を倒す。
その音はテーブルを囲む人間の視線を倒れた容器と、テーブル上の不快な水滴へと向わせるが、銀色の人差し指は既に隠れている。マシーンの存在を知らない彼らは真の犯人を予測することすらできない。
誰もが、私は犯人ではないと主張する。
だが、マシーンは店員やほかの客が近くにいても動作しないようになっている。犯人は自分たちの中以外にありえないのだと、思わせるつくりになっている。
疑心暗鬼が発生する。
とはいえ、たかがしょう油をこぼしただけのこと。一旦はしょう油のことから離れて、雑談へと戻る。
コト。
雑談に戻ってしばらく経たないうちに、またしょう油がこぼされる。
コト。
もう一度。
ストレスは溜まり、次第に、お互いを疑っている彼らの中で小競り合いが発生する。
コト。
小競り合いの中でもしょう油は倒される。
コト。
コト。
コト。
いずれ、本格化する。
罵り合いが起こり、殴り合いが起こり、殺し合いが起こる。そしてそれは、最後の1人になるまで続いていく。