老いぼれに興味はない。
 藁ぼうきのシゲルはそう言うと、ちりとりのヒラオへと正確にごみを運ばなくなった。
 その様子を体感した所有者の除太郎は、この問題を藁ぼうきの老朽化が原因と判断し、シゲルを廃棄処分した。
 ああ。
 間抜けなシゲル、シゲル。
 除太郎の兄である掃太郎が笑いながら焼却炉の前で踊っている。
(掃太郎は世界で唯一、掃除用具の会話を聞くことができる人間だ。これは自称ではなく事実だが、誰にも信用されないので次第に一人でこっそり能力を愉しむようになっていた(いや、掃太郎は掃除用具をモデルに未来を知ることができる予知能力者だ。数十年後、彼は、家族への仕送りや介護を気まぐれでやめてしまったことで親族から徹底的に嫌われ、火あぶりにされて死ぬこととなる(掃太郎はただの夢想家だ(夢想家ではあるが、ただの夢想家ではない。彼は除太郎が藁ぼうきのシゲルを廃棄するときの心の痛みから生まれた新しい人格(掃太郎という名は、除太郎が生まれてすぐに死んでしまった実在の兄の名から来ている(それは違う!(違うものか。掃太郎のことをとやかく言う以前に、お前が先に現実を見つめるべきだ(貴様、言わせておけば……(ほう、やる気か……(……(来いよ。また泣かせてやる(うおおおおおぉぉぉおおおおおおぉぉぉぉおおおぉおおぉぉおおぉおおぉぉぉおおお!!(てりゃあぁぁぁぁああああぁぁああぁっぁああぁあぁああぁああぁあああああ!!(ガシィイン(ゴツッ(ドゴッ(ドォォォオオン(はぁ、はぁ……、まだまだ!(おおおぉおぉおおおおおおぉぉおぉおぉおおぉぉおお!!))))))))))))))))))真実はどちらにもない(そう、真実は今の争いにはなく、私が言っているものこそが正しい(いや、私に決まっている(貴様……(くく(……(……、いくぞ。今度は妹ではなくお前自身の命を奪ってやる!