ただの日記

 珍しく小説を読んだ。何気に古本屋のワゴンセールから一冊取り出して、ぱらぱらと読んだら面白かったから購入したっていう経緯。
 本は、ハリー・クレッシングって人の「料理人」ってやつ。裏表紙の言葉をそのまま写すと、悪魔的な名コックが巻き起こす奇想天外な大騒動を描くブラック・ユーモア会心作。
 こういう煽りって大抵信用ならないんだけど、これは全部が全部合ってた。
 たしかにとんでもない腕と性格のコックは出てくるし、奇想天外の言葉が似合うような軽快さをもって突き進んで、そのくせ最終的にはブラック・ユーモアとして出来上がっている。で、会心作だ。
 夢のあるメルヘンな空気が常に漂ってるくせに、ところどころで生々しい違和感がある。やけに読みやすい文章にのって、その違和感がじわりじわりと不自然なく入り込んでくる。途中でラストシーンはなんとなく予想がつくのだけど、予想がつくのは大まかな部分だけで、いろんなあれな要素が横から上から飛んでくる。
 あまり小説を読まないから、何がすごいなんてのは曖昧にしか書けないんだけど、これは一生頭に残りそうなのを読んだなぁ、という感じ。
 小説とかそういうカテゴリを抜きにして、面白い。