この服は、正面からみると胸部中心に丸い小さな突起がある。シンプルながら色彩のセンスがよく、不思議と悪くないデザイン。
 しかし背面に回ると、服としては巨大な構造物――折鶴が途切れたくちばしを人の背につけている。平面でなく立体のそれは、くちばしの根元を始点に幅が前後に40cmほどもある。
 着ている人は、まるで折鶴に貫かれたかのよう。
 色彩のよさは全体像になっても印象を変えず、着こなし次第ではファッショナブルの究極を表現できるのではないか。そう思う人は思う。
「世に出るのが50年早かった……」
 口をそろえて彼らは言う。彼ら自身も、世間に出れば似たようなことを言われている。