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 だーれだ。
 そう言われて僕は、気分明るく「んー、その声はアサミちゃん!」と応えながら背後に向き直った。
 でも今の正面には誰もおらず、見慣れた無感動な景色。離れた街灯の下では、見知らぬ女性が見知らぬ男性に背後から手の目隠しをしていた。
 僕は「あー、何かが足りないと思ってたら、そういうことか」「そっちのパターンか」って呟きながら駅に入っていった。
(つづく)