セリメケ

 銀黒い蝶がひらひらと舞っている。
 蝶は、鈍柔らかに光を反射させる燐粉を散らしながら、自らの姿を散らしていく。
 燐粉の落ちた先では、銀黒い色のもやが生まれ。
 蝶になっていく。
 上空に浮かぶ銀黒い蝶には、いくつもの穴が空いて空いた。
 欠々欠々々けて、蝶ではなくなる。
 もやになり。
 消える。
 ル。
 新たな生命、銀黒い蝶は、見覚えのあるルートをひらひらと上上していき。
 震動く羽からは、もう、銀黒い粉が散っている。