ちがう

 水槽をひっくり返すと、中に入っていた水と小石とメダカが当然のようにこぼれた。
 でもこれは当然のことじゃない。だって、僕は水槽をひっくり返していない。近づいてもいない。ずっと、部屋の対角の位置にあるテーブルに肘をついて、ぼけっとしていた。僕のせいであるわけがない。
 そう、すべては嘘だったのだ。
 水浸しのカーペットの上、水のしたたる水槽を抱えながら言う。