平日昼間

 オフィス街の路上、首に携帯電話をはさんで話すサラリーマンがいる。背筋が伸びている。両手は何ももたずにぶらんと下げている。完成度の足りない「気をつけ」の姿勢。
 道行く人は、彼を見るとそれなりに怪訝な顔をして通り過ぎていく。どうして手を使わないのか。誰もが思い、誰もが尋ねようとない。
 みんな、自分のことで忙しいのだろう。そう思った。