緑色終焉

 緑色だった指先が白色化していた。風呂上がりの出来事。
 年始の指先緑化発覚以降、何度も風呂に入ってきたというのに、突然、何がきっかけでこうなったのかはわからない。ただ理解できるのは、自分の指先が快方に向かっているということと、心にぽっかりと緑色の穴が空いてしまったということだ。
 残念だ。あまり緑色を人に紹介できぬままに消えてしまった。先日手に入れたデジカメで撮影しようと思っていたのに…、後回しにしなければよかった。くそ、愚かなことをした。もっと一緒に色々なところに旅行とかしたかったのに、キスをしたり、ドレスを着せてやったりもしたかった。俺の馬鹿。
 後悔まみれの視線の先に緑色はおらず、ただの肌色と白いささくれ跡しかない。水分を含んでふやけた純白は、まるで柔らかなウェディングドレスのようにも見えたが、緑色の君がいないのであれば何の価値もない。