同好

 焚き火に飛び込んだ僕らは、その熱さにのたうち回った。
 あまりの刺激に目を開けることもできず、自分が向いていた方向さえ忘れてしまう。近くに用意していた水槽を見つけることができない。僕らは、ただ転がるように地面に体をこすりつける。
 こんなことで消火できるわけがないのは理解している。場所が砂地であればまた違っただろうが、ここの地面は表面のがさがさしたコンクリート。見えなくても水槽を探し出したほうが生き延びる確率は高いに決まっている。
 でも、僕らはそんな希望を無視してとにかく転がる。どうせ生き延びることは本来の目的じゃないし、転がることでなんとなく火が弱まって、なんとなく長く生きられそうな気がするから。それにこの熱い状況は、本来の予定以上にあの映画のワンシーンに酷似しており、かなり最高だ。


 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ。
 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴガッ。
 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ。
 ゴロゴロゴガッ。


 ちなみに今の状況で一番嫌なのは、地面を転がっているときに他の人とぶつかることだ。一瞬冷静になってしまって、火に酔えなくなる。