街中で

 街中で友人と座っていると、見知らぬおじさんが連れに「相対理論的に言うとやな、」という切出しで何かを喋っているのが聞こえた。僕は相対理論的に言うような話の内容って何だろうと気になり、意識を向けたのだが、そのおじさんは「相対理論的に言うとやな、」で話が止まり、そのまま通り過ぎていってしまった。ある程度の距離が離れたころに話は再開されたのだが、既に遠くにいる僕にははっきりと聞き取ることができず、話の内容は謎のまま。なんか残念だ。
 たぶん「相対理論的に言うとやな、」の切出しから考えると、何かしら理知的な内容なのだろうと思う。切出しで止まるということは特に考えなしで言葉を出しただけという可能性もあるけれど、その可能性は無視しておく。あのおじさんは、何かしら理知的な内容を話していたのだ。なんとなく、そう信じたい。