物語系

 ある日、突然世界が臭くなる。どこもかしこも臭い。いろんな人に聞いてみても臭い。でもそれは違っていて、しばらくして、この臭気が自分自身から出ているのだと主人公は気付く。よく一緒に行動していた仲間に、どうして言ってくれなかったんだと主人公は尋ねるが、返ってくるのは「ごめん」「言いづらくて」の2パターンばかり。
 人間を信頼できなくなっていく主人公は、十数番目の仲間に恒例となった質問を投げかける。いつもの答えが返ってきたならこのまま自殺に行くつもりだったが、その異性の子は「嫌なにおいだと思わなかった」と真剣な目で言ってくれた。その子はネクラで、あまり人として好きなタイプではなかったが、主人公はその言葉でその子に全てを受け入れられた気分になり、惚れ、その子と添い遂げた。
 実際、主人公を臭くしたのは、その子の主人公への想いと悪臭趣味からきた発明品だか魔法だかによるものだったりするのだけど、主人公はそれに気付くこともなく、悪臭をまとったまま大往生を遂げてハッピーエンド。