20090115

自転車で前を走っている女の人が、その前で横並びに歩いている主婦らしき二人組みにベルを鳴らしていた。何度も何度も鳴らしていた。
その執拗さが気味悪く感じる。二人はたしかに歩道に広がっていて通行の邪魔だし、時間の惜しい朝だ。しかし、秒間三発以上の「チリン」はやりすぎじゃないか。二人は原付を押してヘルメットを被っているし、老人だし、聞こえていないものとして車道に逸れて進めばいいのに。
「気味悪いなぁ」
後ろでのんびり歩きながら思う。
あれ、でも待てよ。
執拗さに目を奪われていたけれども、冷静に考えてみれば、二人はこの狭い歩道の中で原付を押し歩いていてそもそもが邪魔なわけだし、談笑しながら歩いているということはベルの音も聞こえているはずだし、たまに首を後ろに向けて、完全に状況を知っているんだ。
「気味悪いな」
すこし、後ろでいらついて思う。その意思は邪魔な二人組みに強く絡んだものだが、でもやはり執拗な彼女も気味悪いなとは思う。