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 仕事なのか、作業服を着た男が無言で穴を掘りつづけているけど、この場所に穴を掘るような理由がわからないし、それにどうして彼の視線は僕が近付く前からずっと僕にあるのか・もしかして・不意に男が手を伸ばしてきた、僕は驚いて悲鳴を上げつつ一歩下がった、が、連れ去られたのは同伴していた犬のほうで、視線は穴の底に移動した犬へと変わった・ああ・僕は自意識過剰だったのか・無礼を謝ると彼はぼそり「慣れてるから」と返してくれた、勘違いで人を傷付けることにならず本当に良かったと思う、縮んでいく犬の声を聞きながらほっと胸を撫で下ろす