先月くらいに書いた日記

 今日は、幸せでもないのにずっと半笑いだった。口内炎のせいだ。
 下唇のすぐ内側・右にあるので、歯が当たるのを避けようとして、ずっと半笑い。何かを食べようとすると、患部に触れて激痛が走る。何かを飲もうとすると、容器が患部に触れてやっぱり激痛が走る。
 いやだやだ。特に水分は、長らく摂っていないと口の中が乾燥してしまう。会話をしていると、唐突に歯と患部がくっついたりして激痛が走る。変なタイミングで変な表情になって、変な人間になる。食事は一日くらい食べなくても平気だが、水分は補給しないと生きていけない。
 だからコンビニで紙パックの飲料を買うことにしたんだけど、つい、いつもの気分で、果汁百パーのグレープフルーツジュースを買ってしまう。
 自分がよくコンビニで買う飲み物といえば、この炎症に良くないジュースか、1Lサイズの緑茶だ。なぜこの状況で、あちら側の飲み物を選んでしまったんだろう。口の中という超身近な位置にあれだけのヒント情報があったというのに、どうして間違えた。コンビニ内にいるときは症状が落ち着いていたとはいえ、あまりにも間抜け、大間抜けだ。
 でもまぁ、買ってしまったものは仕方がない。口をつけると、容器への接触とグレープフルーツ果汁の刺激で二倍痛かった。いや、この液体の刺激には変な持続性があるから、実際はさらに何倍も痛い。1+1=2ではなかった。1+7=8くらい痛い。つらい。もがく。
 ストローを使いたい。しかし今回に限っては駄目な癖で、そんな棒などいりませんとハッキリ断ってしまっていた。ああくそ。コンビニの店員もそこは気を利かせて「いやしかし、私、お客様がいつもストローの受け取りを拒否してらっしゃるのを知っておりますが、今回ばかりはお口の事情が違っているご様子。私の独断と偏見で、ストローを入れさせてもらってもよろしいでしょうか。ええ私の勘違いかもしれません。しかし、きっと勘違いではないとコンビニ店員としての心が申しております。魂が申しております。もし私の読みが間違っていたなら、謝ります。そして、ストローの先にあるであろう地球温暖化現象の責任は、全て私がもちます。だからどうかお願いです。今は、このストローを持って行ってください」とか言って引き止めてくれればよかったのに。どうしてコンビニの店員には、客の口内炎を察知して動く機能が付いていないのだろう。
 お前もそう思うよな。思わないって?
 なんだよお前、この間から様子がおかしいと思ったら、口内炎側の人間かよ。
 くそ!
 この口内炎野郎がー!


(おわり)